Minisforum MS-03 レビュー|PCIe拡張スロットと10GbEを搭載した高拡張ミニPC
Minisforumから、高い拡張性を備えたハイエンドミニPC「MS-03」が登場しました。 本機は、2リットル以下のコンパクトな筐体に、PCIe拡張スロットと強力なネットワークインターフェースを凝縮した、ワークステーションからサーバー用途まで柔軟に運用可能な構成を持つスペシャルなモデルです。
本記事では、最新のIntel Core Ultraプロセッサー(シリーズ3)を搭載した「Minisforum MS-03」の仕様、本体の装備、質感、および各種ベンチマークによるパフォーマンスの結果をご紹介致します。
【PR】製品本体をメーカー様よりご提供頂きました。ただし、内容に関してはメーカー側の関与はなく、また、執筆にあたっての費用・報酬は受け取っておりません。
1. 製品仕様と構成

「Minisforum MS-03」の主なスペックは以下の通りです。
| 項目 | 仕様詳細 |
|---|---|
| CPU | Intel Core Ultra 9 386H (16コア/16スレッド, 最大4.9GHz) |
| メモリ | 32GB DDR5-5600 (SO-DIMM×2, 最大128GB対応) |
| GPU | Intel Graphics (Intel Xe3 Graphics / 4 Xe-cores) |
| ストレージ | 1TB M.2 NVMe SSD (YMTC Gen4)※M.2スロットは合計3スロット(x4のGen5対応スロットが2、x1のGen4スロットが1) |
| OS | Windows 11 Pro |
| ネットワーク | Wi-Fi 7, Bluetooth 6, 2.5GbE ×1, 10GbE (RJ45) ×1, 10GbE SFP+ ×2 |
| 拡張スロット | PCIe x16 (電気的接続はPCIe 4.0 x4 / 1スロット・ロープロファイル対応) |
| USBポート | USB4 (40Gbps) ×2, USB 3.2 Gen2 Type-A ×3, USB 2.0 Type-A ×2 |
| 筐体サイズ | 約196 × 189 × 48mm(体積:約1.78L) |
| 重量 | 約1.4kg |
【メモ】内部には2つのメモリスロットがありますが、今回使用しているモデルは32GBが1枚装着された「シングルチャネル」構成でした。メーカーに確認したところ、昨今のメモリ高騰の影響で、現在32GB/64GBモデルの何れもあえてシングル構成にしているとのこと。
価格については、今回の構成(Core Ultra 9搭載モデル)はセール時に実売271,999円。
引用:Minisforum公式サイト 2026年8月1日参照
引用:Minisforum公式サイト 2026年8月1日参照
Core Ultra 5搭載のベアボーンキットを選択する場合、13万円前後から導入可能。
メモリやSSDが高騰している昨今、高騰部品を手元にあるデバイスからの流用などが可能の場合、最安13万円でこの尖った仕様を手に入れることが出来る。
Minisforum公式サイト製品ページ
※アフィリエイトリンクではございません。
2. 内容物

内容物は、PC本体、ACアダプター、HDMIケーブル、U.2変換アダプター、簡易説明書・・・以上です。

電源アダプターについては一般的なDCプラグですが 容量は240Wで、大容量なものが付属。 一般的なミニPCは多くても120W程度のACアダプターを使用することが多いが、これはPCIeスロットへの電力供給の為により大容量なACアダプターが必要になっています。

U.2変換アダプターはM.2スロットを1つ使用して変換する形式です。なお、ドライブの厚みは7mmまでとなっていました。
M.2スロットからの電力では足りない場合があるため、付属の短い電源ケーブルを接続するようになっているようでした。
3. 本体の装備・質感を確認
本体の装備・インターフェース構成

本体の装備をご紹介します。

こちら正面です。 正面左から、電源ボタン、ヘッドセット端子 USB 3.2 Gen2 Type-A、2つのUSB2.0Type-Aがあります。

左右側面です。特に装備はありません。

背面です。 背面左から、10GbE SFP+が2つ、2.5Gb、10Gbイーサネットポートとなります。 それから、映像出力にも対応したUSB4 40Gポートが2つあって、HDMI USB 3.2 Gen 2 Type-Aが2つ、電源ジャックという構成です。

あとは後ほど確認しますが、こちらに拡張カードスロットがあります。

上面です。主に吸気に使用される通気口があります。


底面です。こちらには設置用のゴム足と SSD方面の通気口があります。
筐体素材と質感

筐体はメインパーツにアルミニウムを採用しており、プラスチック製が多い同価格帯のミニPCと比較しても、高い剛性と質感を持っています。



フロントおよびバックパネルにはマットな仕上げのプラスチックが使用されています。
内部構造とメンテナンス性

背面にあるボタンを押しながら本体ボードを引き抜くだけで、容易に内部へのアクセスが可能です。


内部にはPCIe x16スロット(電気的仕様はx4)が搭載されています。制約として、ロープロファイルかつハーフハイト、長さ170mm程度のカードまでという条件があります。

また、前述の通りですが、メモリに関しては、2スロットのうち1スロットのみを使用したシングルチャネル構成となっていました。これはメモリ価格の高騰に伴う仕様変更の可能性があり、デュアルチャネルによる帯域確保を重視する場合は、メーカーへ購入前に確認することを推奨いたします。

反対側です。 こちらはストレージ区画です。 主にネットワークチップとSSDを冷却するためのファンも搭載されています。

ファン一式を取り外すと空きのM.2スロットが現れます。 ちなみにこのファンが高さ方向の制限になっているので今空いている2つのスロットでは SSDヒートシンクは使用できなさそうでした。


M.2→U.2変換アダプターを取り付けるとこのようになります。ヒートシンクが取り付け可能なM.2スロットと排他仕様です。(M.2スロットの残りは分厚いヒートシンクが取り付けできない、M.2 PCIe Gen5 x4が1スロット、M.2 Gen4 PCIe x1が1スロットとなります。)
内部の確認は以上となります。
4. CPU-Z・GPU-Z
ソフトウェアで確認できるマシンの詳細な仕様をご紹介致します。
CPU-Z





GPU-Z

執筆時最新のGPU-ZとIntelドライバーの組み合わせですが、GPU-Zからはあまり情報を得られなかった。
5. パフォーマンス検証
CPUベンチマーク (Cinebenchシリーズ)
Cinebench R15およびR23、2026を用いて、Core Ultra 9 386Hの性能を検証しました。
Cinebench R15

Multi 3313cb / Single 316cb・OpenGL:173.69fps
Cinebench R23

Multi 21554pts / Single 2129pts
Cinebench 2026

Multi 4478pts / Single 502pts
ちなみに、1世代前のモデル(Core Ultra9 285Hを搭載したGEEKOM IT15)と比較して、全体的にマルチコア性能の伸びが確認できました。新しいプロセスルール「Intel 18A(2nm相当)」により、高負荷時におけるピーク性能の維持能力が向上しています。
ストレージ性能 (CrystalDiskMark / CrystalDiskInfo)



搭載されているYMTC製Gen4 NVMe SSD(PC41Q-1TB-B)の性能を確認しました。
YMTC PC41QはDRAMレス(DRAM非搭載)でNANDはQLC。SLCキャッシュ機能(QLCの表面的に使用して部分的にSLCの速度を実現する)とHMB(Host Memory Buffer=システムメモリーをバッファーにする)には対応していると推測される製品です。
CrystalDiskMarkは1つ目は1GiBで2つ目は64GiBで実施。SLCキャッシュまたはシステムメモリによる高速化などが動作しているうちは読み書きの双方がGen4 NVMe SSDとして十分といえる5000MB/秒を超えるシーケンシャル速度を確認。一方でキャッシュ切れを起こす可能性がある、64GiBでは書き込みがまさにキャッシュ切れのそれの速度まで低下。シーケンシャルにおいてはHDD並みの書き込み速度程度まで低下してしまいました。(体感的にモッサリするとかではない。)
GPU性能
内蔵GPU(Intel Xe3 Graphics)の検証として、FF15ベンチマークを実行しました。

FF15 (Full HD/高品質): おおむね15〜25FPS(スコア:2063、評価:重い)
内蔵GPU単体でのゲーム性能はそれほど高くありません。PS4世代のゲームでも3Dの重たいタイトルであれば快適にプレイすることは困難でしょう。
AI性能(LLM推論)

LLM(大規模言語モデル)の推論テストです。モデルは「GPT-OSS 20B(MXFP4・GGUF・11.28GB)」を使用しました。
なおレビュー機は、メモリを2スロット中1スロットのみに搭載しているため、つまりシングルチャネルメモリで動作しています。従って、本来のデュアルチャネルの性能は出ていない前提ですが、結果は13.26TPSを記録した。
6. 冷却性能・温度
今回の負荷テストを通じてのCPUの最高温度は91℃でした。(環境はエアコンを使用し、温度計で計測した室温は27℃)
※TDPやファンコントロールは変更せず初期のまま。CPUはPL80Wで動作している状態でした。PLやファンコントロールはBIOSで設定可能でした。
7. 消費電力
消費電力
コンセント電圧計を用いた計測結果は以下の通りです。(電力設定は変更せず標準のまま。バランスモード、PL80Wです。)
- アイドル時: 約11W
- YouTube動画視聴時: 約14W
- CPU高負荷時: 約105W
- ゲームベンチマーク実行時: 約52W
アイドル時の低消費電力は、24時間稼働のサーバー用途において大きなメリットとなります。
8. 静音性

CPUの冷却にはブロワーファンが採用されています。
低負荷時は静音性が保たれていますが、CPUに最大負荷をかけた際はファン回転数が急上昇し、明確な動作音が発生します。
(「フォーン」というアクセルを吹かしたような変動的な回転音が生じます。総合的には静かな印象はありません。机の上において、なおかつ見える位置・直接耳に音が届く位置に設置する場合は気になる水準だと感じました。)
スマホの騒音計では、ブラウザやエクスプローラーなどの軽作業では42dB~。CPU負荷最大状態ですと~60dBまで上昇しました。
あくまでスマホアプリですし、かなり至近距離での計測の為、メーカー公式の数値とは大きく乖離しております。今回の検証とメーカーの仕様のどちらが正解であるかは不明ですが、検証結果の数値は体感的に妥当だと感じるファンノイズを確認しております。(シロッコファン・ブロワーファンのGPUの高負荷時の音という印象です。それをオープンフレームPCにて動作させているような音です。なのでそれなりに気になる音です。)
小型筐体で高出力なCPUを冷却するための仕様とはいえ、静音性を重視する環境では留意が必要です。
なお、PLを下げたり、ファン設定を変更したりすると騒音を下げることは可能。あくまでも出荷状態のまま設定は変更せずに検証しております。
9. 拡張スロットへのGPU搭載テスト

本機の最大の特徴であるPCIeスロットへのロープロファイルGPUの搭載実験を行いました。
使用機材①:Intel Arc A310(2スロット厚、ブラケットは1スロット)


検証結果: ブラケットは1スロットであったため取り付けが可能でしたが、クーラー部分は2スロット厚です。そのため物理的な厚みにより筐体のカバーを閉めることは不可能でした。
ただし、システム上では正常に認識されました。GPU-Zでの確認において、PCIe 4.0 x4として正しく動作していることが確認できています。(このGPUはx8までですが、スロットはx4までです。)
使用機材②:NVIDIA GeForce GT 1030(Palit製、1スロット厚、補助電源無し)


検証結果:問題なく搭載可能。ファンも吸気のメッシュの背後となり、最低限の換気が出来るように考えられている。(GT1030はCPU内蔵GPUよりも低性能なため搭載する利点は少ない。)
なお、カードの長さは167mmで、ケースとのクリアランスは3mm程度でした。
制約条件(ロープロファイル、1スロット、補助電源なし、長さ170mm程度まで)を遵守すれば、このサイズのミニPCでデスクトップ級のグラフィックス性能を補完することが可能です。
【メモ】ロープロファイル、1スロット、補助電源なしで搭載する価値のあるグラフィックボードとは?
条件をクリアするグラボですと・・・ 「Radeon RX6400 4GB」、「GeForce RTX3050 6GB」、「RTX A400 4GB」、「RTX A1000 8GB」、「Intel Arc A310 4GB」・・・これらは新品で見かけます。 他にも更に弱いモデルであればありますが、それだと内蔵GPUよりも弱いのでうま味はほぼ無いでしょう。RTX Aシリーズ以外は2〜3万円台で新品入手できるので非現実的なものでもないです。
中古も含めれば「NVIDIA Quadroシリーズ(旧製品)」では例えば「NVIDIA Quadro T400(現在は「NVIDIA T400」と呼称)」などがあり、いくつかのロープロ補助電源無しモデルが中古入手可能です。(ただしCPUに内蔵のGPUよりも高性能なものは少ない。)
引用:https://n3rdware.com/ 2026年8月1日参照
一応、予算が潤沢なら「n3rdware」から出ているシングルスロットクーラーを入手して改造する必要があるものの、最高で「RTX PRO 2000 Blackwell SFF (GDDR7-16GB)」や「RTX 4000 SFF Ada (GDDR6-20GB)」を搭載することが可能。(推測)
10. 総評「13万円から入手できるスペシャルなミニワークステーション」
Minisforum MS-03は、用途を明確に絞った「特化型ハイエンドミニPC」といえます。
メリット:
- Intel Core Ultra 9 386H/Ultra 5 336Hの最新CPUを搭載。
- PCIe拡張スロットによるGPUや外部端子を増設可能
- 10GbEおよびSFP+ポートによる強力なネットワーク性能
- アルミ筐体による高いビルドクオリティ
- ベアボーン構成における高いコストパフォーマンス
デメリット:
- 高負荷時におけるファン騒音の増大
- GPUおよびメモリ構成(シングルチャネル)によるパフォーマンスへの影響
- Ultra 5 336H×ベアボーンキット以外の構成だと価格優位性があまりない
高性能なネットワーク環境を必要とするサーバー用途や、小型筐体で独自の拡張性を求めるユーザーにとって、非常に有力な選択肢となる製品です。
静音性も重視したい筆者のおススメは13万円~の「Ultra 5 336H×ベアボーンキット」
最後に検証を通じて筆者が考えるお勧めの構成についてですが、やはり「
Intel Core Ultra 5 336H×ベアボーン」が総合的にお勧めです。
理由は
- Ultra 5 336Hの方が発熱・TDPが低く、騒音の低減に有利(性能も十分)
- 特に32GBメモリ・1TBストレージより少なくて良い場合は単品購入した方が安い(ベアボーンの利点)
- OSも自分でライセンスを購入すれば、以降、別のベアボーンや自作PCへ乗り換えの際に使いまわせる(Windows11を想定)
- GPUを追加する場合、LP1スロットではUltra9に釣り合う高性能GPUがあまりない(Ultra5で十分)
以上となります。
あとは、販売価格にもよりますが、32GBメモリ・1TB SSD搭載モデルと、ベアボーンに自分でメモリとSSD、Win11ライセンス(2万円前後)を新品で購入して構築した場合の金額を比較してもほぼ変わらない印象です。
つまり、Minisforumさんはメモリやストレージでは相場を超える利益を取っていないことがわかる一方で、お得感に関してもありません。
メモリとストレージが高騰している現在は最小限の構成にする方が合理的であり、必要に合わせて、メモリ16GB+SSD 512GBなどを自分で用意して組み込む方が良いでしょう。OSに関しても市販のライセンスなら個人で載せ替えが出来るので、今後もベアボーンで安く済ませたいと考えているのならなおさら自分で購入する方に利があるでしょう。
パフォーマンスに関しては、Ultra9モデルが有利ですが、静音性を重視するのならパワーリミットなどは必須。
実際に、Ultra9モデルで強くPLを掛ける場合と、Ultra5モデルゆるくPLを掛ける場合とではUltra9モデルの方がそれでも高性能であると推測しますが、コア数が少ないUltra5モデルは電力に余裕が生じやすく、そもそもの発熱も少ないため、騒音も重視した場合、ミニPCではワンランク下のCPUの方が総合的に満足度が高い場合もあります。
(価格差を考慮すれば尚更Ultra5モデルが魅力的な印象を受けた。※繰り返しになりますが、最高性能よりも静音性を重視するという前提があればです。)
この様なスペシャルなミニPCが13万円からで入手可能というのは他社にはない魅力ではありますので、本記事がロマンミニPC導入の参考になれば幸いです。



