【静音】ハイスペックRyzen搭載Mini-ITXマザーボード「Minisforum BD770i」レビュー

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ハイスペックAPUを搭載。静かに冷えて性能が良く出る!「Minisforum BD770i」レビュー

ハイスペックスペックCPUを内蔵したMini-ITXマザーボード「Minisforum BD770i」をご紹介します。

メーカーさんよりレビュー用製品を提供頂きレビュー致します。

Minisforumといえば、完成品もしくはベアボーンキットとして小型パソコンを製造販売しているメーカーですが、ここにきて新たに自作PCなどで使用できるマザーボードを発売。

モバイル版ハイエンドCPUを搭載してPCIeスロットもあるので、モバイルCPUにデスクトップのGPUを組み合わせるなど個性的な構成にすることができる一品です。

実用性など、色々とチェックしていきたいと思います。

スペック・仕様「Minisforum BD770i」

主なスペックをご紹介いたします。

メーカー:Minisforum  モデル:BD770i
フォームファクタ:Mini-ITX
CPU:AMD Ryzen 7 7745HX
   (Zen4、8コア16スレッド、3.6GHz~ 5.1GHz、L3キャッシュ32MB、TDP45-75W)
グラフィック:AMD Radeon 610M(RDNA2、2200MHz、2CU、APUに内蔵)
メモリ:SODIMM 2スロット(DDR5-5200、最大64GB)
ストレージ:M.2 2280 ×2 (PCIe5.0 SSD対応)
OS:無し(Windows11対応)
端子:HDMI2.1、DP1.4、USB3.2 Gen2 タイプC×1、
   USB3.2 Gen1タイプA×2、USB2.0×2、オーディオ入出力ジャック
通信:2.5Gbps LANポート、WiFi6E、Bluetooth5.3
拡張カードスロット:PCIe 5.0 X16
内部端子:フロントパネル端子、フロントAudioヘッダー、USB 3.2 Gen 1ヘッダー
その他特徴:12cmファン別途使用、ファン端子CPU×1、システム×2(4ピンPWM対応)

モデル名は「BD770i」。一般的なMini-ITX規格のマザーボードです。搭載CPU・APUは「AMD Ryzen 7 7745HX」8コア16スレッドで、最大5.1GHzで動作します。
モバイル版ですが、L3キャッシュは32MBとデスクトップ版の「Ryzen7 7700X」と同じ容量を搭載しています。また、TDPも高めなのが特徴で省エネよりも性能重視のハイスペック品となります。

GPUは拡張カードで追加できますがCPUにも「Radeon 610M」を搭載しています。
後ほど確認しますが、内蔵GPUにつていはおまけ程度の性能。明らかにCPU性能を重視しておりRadeon 610Mはかなり低スペックでした。
一方のデスクトップ版Ryzen 77700Xもほぼ同じスペックの内蔵GPUとなっているので、特別低性能なわけではありません。
最近のモバイルCPUの内蔵グラフィックスがハイスペックになっているので見劣りするのです。

メモリについては、ノートPC向けのDDR5モジュールを搭載可能です。2スロットでデュアルチャネル動作に対応しています。

ストレージはマザーボード上にM.2スロットが2本あります。
なお、SATAポートは非搭載でした。3.5インチHDDや光学ドライブをご利用の場合は注意したほうが良いでしょう。

OSについては付属していません。

端子については、映像出力はHDMI・DP・USB-Cの3画面に対応。

その他USBポートなどをそれなりに装備しています。
ネット接続は、2.5ギガビット有線とWi-Fi・Bluetoothに対応。

拡張スロットはPCIe×16端子を装備。一般的なMini-ITXマザボと同等の拡張性があります。

その他の特徴としては、CPUヒートシンクが取り付け済みであり、別途好みの12センチファンを取り付けることができます。

価格についてですが2024年3月13日現在、公式ストアの定価が「79,980円」となっています。また現在はセールで「57,980円」となっています。

セール価格なら割高でも無いと思います。最新のAMDのAM5ソケットのMini-ITXマザボは2万円以上も当たり前なので、それに最安マザボに同等CPUを組み合わせれば似た金額になるか、もしくは豪華なマザボを選べば自作系の方が高くなるくらいの価格設定となっています。

ただ、これから見ていきますが、モバイル版CPUを大型のクーラーで冷やしているので静音性が高いままに性能は抜群に発揮されます。静音性との両立などを考慮すれば自作マザーではないこちらをあえて選ぶ理由も出てくると思います。

以上が主なスペックと価格についてでした。

開封~内容物・付属品

開封して内容物についてご紹介します。

グラフィックボード・ビデオカード製品のような梱包です。

内容物・付属品は、「マザーボード本体」、「バックパネル」、「WiFiアンテナ」、「ファン取り付け用ステー」、「ねじ類」、「説明書」・・・以上です。

丁寧に梱包されていて好印象です。

内容物についてでした。

本体確認・各部紹介

それではマザーボード本体を見ながら各部紹介を行っていきます。各種接続端子についてなど詳細にお伝え致します。
まず、第一印象ですが、コレ結構かっこいいです。
なんというか、斜めのものが少なくカクカクなデザインと言う感じ。

全体の部品配置を確認します。(上)コネクターの配置の図。

詳細に見ていきます。CPUとヒートシンクです。付属のステーを使い、12センチファンを取付可能。

PCIeスロットも普通のがあります。スロットに金属の補強などはありませんでした。

SSDスロットは、アルミヒートシンクと50ミリファンが装備されています。

メモリスロットはこちらになります。

電源コネクターは極めて一般的で24ピンATXコネクターと、8ピンCPU電源です。
ちなみにCPU電源は8ピンのうち4ピンだけ接続した状態でも起動することを確認できました。

続いてピンヘッダーについてです。

装備としては、フロントパネル、USB3ヘッダーオーディオヘッダーがあります。

(上・写真)一般的なPCケースにて使用されるピンアサインですが一応配列についてもご紹介しておきます。

あとは、CPUファンとケースファンのコネクターが2つ。合計3つのファンコネクターがあります。

マザーボード表面の装備については以上となります。

裏面です。こちらには装備はないのですがコイン電池があります。

背面ポート部分です。バックパネルを取り付けます。

最近の上位マザーのように、パネルはケース側ではなくマザボ側に付く仕様でした。
取り付け手順は、Wi-Fiアンテナコネクターのナット類を外してからパネルをねじ固定するだけです。

Wi-Fiアンテナのナットを取り外します。8ミリソケットが使用可能。ペンチなどでも作業可能です。

ネジで固定。

取り付け完了。

装備としてはご覧の通りですがUSBについてだけご説明しておくと、黒いUSB-AはUSB2.0になります。USB-Cは画面出力にも対応したUSB3.2 Gen2となります。
青いUSBポートはUSB3.2Gen1となっています。説明書にはUSB3.2 Gen2とありますが、実際はGen1が正解のようです。※WEBサイト等でもGen1と説明されています。

後はまあ、バックパネルにここまでガッツリと排気ポートがあるのは一般的なマザーではあまり見ないですね。

CPUクーラー部分です。グラボのヒートシンクかの如くCPU電源回路などもサーマルパッドで冷やしているようでした。
ちなみに、ファンを付けない状態ではクーラーの高さはマザボ裏面までで約42ミリでした。

次にCPUファンの固定についてです。
使用できるファンは、12センチ厚み25ミリの一般的なものが対応しています。
4ピンPWMのファン制御に対応。3ピンの場合は一定回転になります。

ファンのマウント位置は2箇所で選べます。普通はカードスロットにかぶらない上位置に固定することになると思います。

装備紹介については以上ですが、一般的なMiniITXマザーボードと軽く見比べてみます。

比べているのがやや古めの品なのでコネクターなどの配置がめちゃくちゃ。あべこべ。

今回のマザボは、より洗練された位置に端子が配置されている印象です。

比較については以上です。

パーツ取付・組み立て

このマザーを使うために必要なパーツを取り付けていきます。
まずはメモリー。メモリはDDR5-5600 16GBを2枚で32GBを搭載していきます。

ストレージはPCI-E4.0に対応したM.2 SSD 256GBを使用します。

SSDはこちらのヒートシンクの下に装着できます。

2スロットあります。どちらも速度は同じです。
SSDの固定は道具なしでOK。

プラスチックのピンがあるのでそれを引き抜いてからSSDを装着。ピンを戻せば固定完了となります。取り付け楽々な構造ですね。

あとは熱伝導シートのシールを剥がして組み戻すだけです。

次はメモリを取り付けます。取り付け方法は通常のデスクトップ用と同じです。
固定レバーを開いて・・・カチカチッと取り付けます。

続いてCPUファンを取り付けます。

まずはステーを取り付けます。
ファンを取り付けます。
今回、使用するのは日本電産サーボのジェントルタイフーンです。今回はあえて3ピンの物を選択してみました。4ピンのは使えるに決まっているので3ピンファンでもまともに使えるのかも試したいところです。※3ピンファンは定格回転になります。

マザボ側の準備は全て整いました。隙間なく仕上がるので見た目がかなりスッキリしており良かったです。

ちなみに、通常の25mm厚ファンを取り付けての実測の高さは約67mmでした。

起動

周辺機器を接続して起動してみます。なお、電源スイッチを接続していないので
フロントパネルヘッダーのスイッチピンをショートさせて起動します。
6番と8番がそれになります。

はい。OSは入っていないので、BIOS画面が出てきました。

OSインストール

OSをインストールします。今回はWindows11 Proを導入してみます。
適当なUSBメモリで作ったインストーラーを接続・・・電源オン!そしたらセットアップ画面が出てくるので、ポチポチ進めていきます。

インストール完了。

とりあえずはタスクマネージャーを見ていきます。・・・CPUやメモリなど問題なく表示されています。

マイクロソフト公式から配布されている素のWindows11をインストールした直後にデバイスマネージャーを確認しました。一つだけ不明なデバイスとして表示されていますが基本的にほぼ全てのデバイスが特別なドライバー等は必要なしでWindowsシステムに認識されていました。問題なしです。

「CPU-Z」「GPU-Z」

次に性能などを確認していきます。がその前に、CPUなどの情報をご紹介致します。

「CPU-Z」

まずはCPU-Zです。CPUの情報です。

マザーボード・BIOSの情報です。

「GPU-Z」

GPU-Zです。CPU内蔵のRadeon 610Mです。レイトレーシングにも対応していますがシェーダー数などは少なめなので大した性能は無いでしょう。

性能確認・ベンチマークテスト

それでは各種ベンチマークテストを実行して、主にCPUの性能などを確認して致します。なお、環境は室温約23℃です。

「Cinebench R15」

まずは「Cinebench R15」です。

CPUマルチが「3127」で、シングルは「298」でした。GPUのOpenGLは「97.25FPS」でした。
テスト中のCPUの最高温度は「75.9℃」でした。スコアとしてはデスクトップのRyzen7 7700Xに近い数値であり、最新の8コアCPUとして最高クラスの性能があると思いました。

また、意外だったのですが、低性能と見込んでいたGPUはOpenGLに関しては意外とよく動いており数値としては良好です。

「Cinebench R23」

次に「Cinebench R23」です。

結果ですが、CPUマルチが「18956」で、シングルが「1859」でした。
こちらもR15と同様の傾向で、素晴らしい性能です。また、R15よりも高負荷なテストですがMP Ratioが10を超えています。
Ratio(レシオ)は比率という意味で、シングルのスコアに対するマルチスコアの倍率を示すわけですが8コア16スレッドCPUなので8以上が望ましいです。
そして結果は「10.2倍」ということでCPUの性能を余すことなく引き出していると思われます。

ちなみに、テスト中のCPU最高温度は「88.1℃」でした。限界まで性能を引き出すような制御でした。

FF14ベンチマーク

次にゲーム性能を見ていきます。とりあえずFF15ベンチマークを試していきます。

設定はフルHDの最高品質。結果はスコア「2141」で評価は「設定変更を推奨」でした。
テスト中の平均フレームレートは「14.3fps」で最低フレームレートは「8fps」でした。
OpenGLはそれなりに動作しておりましたが、内蔵GPUのスペックを見て予想がついていましたが実際にゲーム性能は低いです。ゲームをするならグラボを追加しましょう。

FF15ベンチマーク

設定はフルHDの高品質。フルスクリーンモードです。
FF14よりも更に重たくフレームレートは一桁代を維持。結果は、スコア「778」で、評価は「動作困難」でした。

性能まとめ。CPUは抜群の性能。内蔵のRadeon 610Mはおまけ程度の性能。

PS3くらいの古いゲームなら辛うじて快適に動作しそうですが高画質なPS4クラスのゲームはパラパラ漫画状態になってしまうでしょう。
同世代のモバイルCPUでも、内蔵GPUが強いタイプの場合は3倍以上のスコアになるので、ゲーミング性能は低いと言えるでしょう。ということで、CPU性能はかなり強いもののCPUに内蔵しているGPU機能はおまけ程度な感じでした。

拡張カードを接続テスト

拡張カードスロットがあるのでとりあえずグラフィックボードを追加してみます。
ちなみに、今回使用するGPUは、前回レビューしました一番安いインテルGPUこと「インテル Arc A310」です。
高性能CPUには不釣り合いな低スペックGPUですから性能云々よりも問題なく動作するのか?PCIEスロットのリンク状態などを確認したいと思います。

接続後にGPU-Zを使用してGPUについてを確認してみました。
すると、ちゃんとこのGPUの最大リンク帯域であるPCIE4.0の ×8接続になっていることがわかりました。
また、デフォルト状態で「Resizable BAR」が有効になっているので
最新のGPUを追加する場合も、BIOS設定をイジる必要はなく何も考えずにポン付けでもOKとなっていました。

※「Resizable BAR」の設定はBIOS・UEFIから変更可能です。内蔵GPUの無効化設定も可能です。

なお、性能についても、このような低スペックグラボであればCPUは力を持て余している状態ですのでGPUの性能を十分発揮できていました。

騒音・静音性

次に騒音・動作音についてです。ファンの設定はいじらずそのまま。4ピンの低回転なPWMファンに交換しました。

ただいまアイドリング状態です。騒音は殆ど聞こえません。耳を澄ましても僅かなファンノイズが認識できる程度。

続いてCPU負荷を100%にしました。

ファンの音がやや増えましたがとても静かです。コイル鳴きなどもなく静かに運用できると思います。

極めて静かな状態で大きなCPUパワーを得ることが可能でした。

ファンレスでも試してみた結果

モバイル向けCPUに大型のクーラーが取り付けられているので、ファンレス状態でも高性能動作できそうだったので試してみます。

状態としては、BIOS等は何もいじらず、ただファンを接続しない状態です。※SSDのファンは回転しています。SSDファンおよびCPUファンはBIOSで速度設定、ファン停止、セミファンレス化など自由に設定可能です。

室温23℃で「Cinebench R23」を1回テストしました。最高温度は「82.5℃」でした。1回くらいなら最高性能を維持可能でした。コアクロックも5.1GHz出ています。
ただし、連続2回目以降はサーマルスロットリングで性能が下がります。

個人的な感触としては、そこまで高負荷作業を継続して行わないのであればファンレスでも運用可能だと思いました。高負荷な運用をする場合はファンを最低速の一定回転で冷却するのもありかと思います。

消費電力

消費電力について確認してみました。なお、計測しているのはディスプレイを除いた
システム全体の消費電力となります。参考程度でお願いします。

まず、アイドリング時ですが「約18W」でした。モバイル版CPUにしてはやや多めな印象ですが
、省エネだと思います。

ブラウザでフルHD 30fpsのYouTube動画を再生しているときは「平均約38W」※25~54W前後でした。

CPU負荷最大のときは、最大約132ワットでした。※130W前後を推移。
ハイエンドデスクトップ並みの性能ですが消費電力も8コアデスクトップ並でした。

性能に対する消費電力で考えると効率は比較的優れていました。

分解

最後にCPUが見えるところまで分解してみます。と言っても、マザーボードからCPUクーラーを外すだけなのです。裏面のクーラー固定ネジを外すだけでCPUがお目見えです。

CPUです。珍しいことに、グリスがほとんど付着していません。

CPUグリスはかなり固めのものが使われていました。
熱伝導シート並みの硬さです。コレって冷えるのか?と疑問なのでこのあとにグリスを塗り替えたのですがCPU温度は殆ど変わりませんでした。逆に元の方が冷えるくらい。
ということで、このグリスは結構高性能なようでしたので塗り替える必要はなく、むしろ塗り替えないほうがいいと思いました。この記事でご紹介したような冷却性が得られなかった場合に塗り替えを検討するくらいで良いかと。

まとめ「静音・高性能」

高性能CPU搭載Mini-ITXマザーボード「BD770i」のレビューでした。
マザボ上にSATA端子が無いなど、注意点もあるので買う前には多少下調べが必要な製品だと思いますが、それ以外には不便な点も少なく通常のMini ITXマザーとして使える製品だと思いました。
とびっきりコスパに優れているわけでも無いのですがセールなら若干お得程度の価格ではある印象なので変わり種が好きな方は検討するのもありだと思いました。

モバイルCPUを搭載しているメリットとして、ハイエンドながらも強力に冷えてフルの性能が出るため、個人的には静音性を重視している関係で非常に魅力的に感じました。

実際に試した通り、ファンレスでも運用できるほど放熱性に優れているため、SFFケースでも静音な小型自作PCを組みたい場合には選択肢の一つとして良いCPU付きマザーボードだと思います。

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