SSD環境での「SATA2」と「SATA3」接続のパフォーマンスを比較。
今回はシリアルATAのお話で、sata2とsata3の速度の検証を行なっていきます。
規格上、より新しく速度の早いSATA3が高速であり実際のパフォーマンスも良いものになるのはハナから明白ではありますが、改めて実際に確かめてみます。
また、PC・OSの起動速度など、実際に使用した際の体感としてもどの程度の差があるのかチェックしていきます。
SATA2とSATA3のスペック(規格の大まかな説明)
まず、SATA3などの接続機規格についての概要をざっとまとめてご紹介します。
Serial ATA 2.0 (3 Gbit/s、300 MB/s、Serial ATA-300、SATA2)
パラレルATAと置き換わる形で主流となったシリアルATA(SATA)のリビジョン2です。SATA1の後継。SATA2。(SATA IIとも)。HDDやSSD、光学ドライブなどの補助記憶装置を接続するために使用されるインターフェイスです。
転送速度は「3 Gbit/s(ギガビット毎秒)、300 MB/s(メガバイト毎秒)」です。
Serial ATA 3.0 (6 Gbit/s、600 MB/s、Serial ATA-600、SATA3)
SATA1、SATA2ときて、SATA3に進化しました。
転送速度はSATA2の2倍になり「6 Gbit/s(ギガビット毎秒)、600 MB/s(メガバイト毎秒)」です。
HDDや光学ドライブではSATA2の速度でも十分性能を発揮できていたが、より高速なデータのやり取りが可能なSSDも広まり、SATA2ではSSDのパフォーマンスを活かしきることが出来ないなどの不足のある場合があったが、SATA3では速度が倍まで出るようになり、SSDの性能をより引き出すことが出来るようになった。
ちなみにSATAのコネクター形状には、新規に作られたもの以外は互換性があり、交互に下位互換があります。(例:SATA2のマザーボード・PCでSATA3のドライブを使用→SATA2動作)
より詳しくはウィキペディア「https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%ABATA」などをご参照ください。(上リンクは新しいタブで開きます。)
今回の環境を紹介。「SATA2(SSD) vs SATA3(SSD)」
今回、検証を行った環境についてご説明致します。
今回検証に使用するのはHDDではなく、高速なmSATA SSD「SanDisk mSATA SSD UltraII 256GB(SDMSATA-256G)」です。
読み書き速度はともに500MB毎秒を越える(公称値)高速なSSDでSATA2の規格では性能を完全に発揮することができないものです。なのでSATA3の恩恵を受けることが出来ます。よってSATA2とSATA3を比較した際にどのような違い(恩恵)があるのかを確認できるはずです。
使用するマシンについては「レノボ ThinkPad E430(第3世代 Core i7)」です。SATA3に対応したパソコンです。OSはWindows10 Home 64Bit。
「仕組み」このPCのmSATAスロットはSATA2まで対応。メインのSATAは3対応。これを利用しSATA2と3の比較を行う。
このPCのチップセット自体はSATA3に対応しています。ですがこちらのmSATAスロットはSATA2までです。※チップセットなどによりハブなどをかえさない直接のSATA3の数は決まっている。
上)mSATA 現在の転送モードはSATA300(SATA2、300MB/s)と表示。SATA2接続になっていることを示しています。※その右の600は対応転送モードを表示。つまりSSDは600のSATA3に対応しているがポートが対応していないためSATA2で動作しているという状態。
なのでこのSSDをそのままmSATAスロットに接続する場合、SATA2で動作・データ伝送することになります。
そして、メインのSATAポート(2.5インチドライブベイ)はSATA3に対応しているので、mSATAから2.5インチ変換ケースを使用し、全く同じSSDを今度はSATA3で接続する事が可能です。
これらの仕様を上手く利用することで同じPC、同じSSDを用いた同一の環境でSATA2と3の比較・検証を行っていきます。
SATA2 VS SATA3(どっちも同じSSDで検証)
それでは検証を行って結果の解説をしていきます。今回はクリスタルディスクマークを使用し、ベンチマークソフトによる速度比較と、実際のWindows起動時間の比較をし体感速度の確認も行います。
クリスタルディスクマーク・CrystalDiskMark 6
ベンチマーク結果です。左がSATA2で右がSATA3。
結果としてはSATA3の方が高速になっており、このSSDの場合、SATA2 では300MB/sの上限に達しているように見受けられる箇所もあり、ベンチマーク結果を見るとSATA3による恩恵はあることが分かります。
とくに一番上のシーケンシャル(Seq)の読み書きはSATA2の場合270MB/sと規格上限の300にかなり近づいており、それがSATA3では480MB/s程度とSATA2の上限を突破しています。数値的には2倍ほど高速になっています。大きな速度変化です。
それ以外の下の数値。ランダムアクセスですがこちらはシーケンシャルアクセスよりは変化が少なく、そもそもSATA2でも余裕があるため明らかな差が現れませんでした。
WindowsOSの起動速度の比較
Windows10 Home 64ビットの起動テストを行いました。
結論はほぼ同じ時間で起動し、差があまりありませんでした。誤差程度にSATA3に方が早かったですが、ベンチマークのシーケンシャルアクセスで見られたような2倍高速という実行速度は、OSの起動時間の短縮にはあまりつながらないようでした。
数値では約1秒早いですが、体感は全くと言っていいほど差がわかりませんでした。※両方とも同様に電源投入後間もなく起動する印象です。
その他、体感的な部分。
そのほかに実際に使用してのSATA規格の体感差ですが、これは確かに感じることが出来ます。ですが感じることが出来るシーンがある一方、体感出来ないシーンもあります。
例えばアプリケーションを起動するような場合はあまり体感での差が現れません。一方で、高速なUSBメモリや外付けSSDなどからデーターを取り込むなどのファイル移動では明らかに高速で、作業性は向上していました。あとは当然ですが大きなファイルを取り扱う動画編集など際には高速なSATA3の方が有利な場合があり、より快適に実際の作業等を行えます。
まとめ
同じ状態のPC・SSDを使用してSATA2とSATA3の速度比較・実際の体感速度の比較を行いました。
結論を改めてまとめると、ベンチマークでは無論より高速な結果となり、高速なSSDではSATA2がボトルネックになる場合があることが実際に分かりました。
一方で、OSの起動テストでは明白な差が現れず、SATA3にしても高速になりませんでした。
ということはOSの起動などはベンチマークテスト結果の両者似た数値になっている部分、それと同様の読み書き動作が影響しておりOSの起動速度など”体感的”なサクサク感については、つまるところシーケンシャルアクセスの速度よりもランダムアクセス速度の性能が影響していそうであるということが分かりました。
※先に述べた大容量のファイルを取り扱う際などシーケンシャルアクセスの速度が体感出来るシーンもあるのでサクサク感との因果関係は必ずしもランダムアクセス性能だけが影響するということではない。
以上。簡単ではございますがSATA2とSATA3の比較でした。全く同じPC同じ・SSDで検証することが出来ましたので、ぜひ、何かの参考になれば幸いです。
動画版
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